バスファンのためのバスツアー第17弾

Yesterday Once More

〜復刻塗装青バスで廻る福岡の原風景〜　開催記録

2018年は西鉄110周年の記念すべき年。

これを記念して、1974年頃まで採用された西鉄路線バスの旧旧塗装、通称「青バス」が期間限定で復元されました。

（リリースによると2018年12月末までの予定　★好評により期間延長となったそうです）

装いを改めたのは、福岡市近郊路線で活躍する、愛宕浜営業所の9002号車、那珂川営業所の9375号車の2台と、

久留米と八女を結ぶ、八女営業所の9429号車の1台の合計３台です。

今回で17回目を迎える西鉄バスファンツアーにおいては、『イエスタデイ・ワンス・モア』をテーマに、

復刻塗装車である八女営業所の9429号車を、ご高配により貸し切りさせていただき、

福岡の昔ながらの風景（原風景）が残る各所で、その情景とバスとの写真を撮影し、

記録することをテーマに開催を致しました。

当日は午前中があいにくの雨となりながらも、全国各地からの22名の皆様にご出席いただき、

西鉄久留米を発着点に、昔懐かしの田園風景や宿場町の風情が残る、

筑後草野、吉井温泉、浮羽などを廻る旅路を、ご一緒させて頂きました。

当日の開催の模様について、ご報告申し上げます。

★開催に際しご尽力を賜りました西鉄バス久留米の皆様、八女営業所の皆様、田主丸地区で折り返しのご了解を頂いた皆様には、心より御礼を申し上げます。

9:45　西鉄久留米

小雨ぱらつく、西鉄久留米のバスセンター。

普段は30番や31番でやって来る復刻塗装車ですが、今日は八女営業所から回送で到着。

久留米岩田屋の看板を背景に０番乗り場へ停車。

すでに搭乗手続きをお済ませの皆様方を車内へご案内。

貸切名も、しっかり作成を頂いたことに感動・・！

遠方からお越しの皆様もお揃いになり、バスは定刻で西鉄久留米を出発です。

１０：４０　筑後草野

バスは耳納連山の麓を走る、25番田主丸行きのルートにそって東へ。

草野の中心部にほどちかい世界のつばき館前で皆様には降車をいただきます。

それはフォトランの実施のため。

ここ草野には、歴史的町並みが保存されており、街の中心部には最大の見せ場であるクランクが今も残っています。

草野の中心部、クランクでカメラを構えることしばらく。

カーブミラーに映る復刻塗装車の姿。クランク進入です。

この付近、街の中心部にもほど近く、マイカーの通行もそこそこあることから、前後でタイミングを計っていただいてます。

2000年頃までは25番の定期路線も田主丸営業所の58MC大型車が活躍していましたが、

ここ暫くは中型車の専用路線。非常に迫力のある光景です。

最初のクランクを抜けて次のクランクに備える復刻塗装車。

運転士の方の技量もあり、極めてスムーズにクリア。

クランクを過ぎた草野局前バス停付近では、久留米行の25番定期バスと離合。

周辺には歴史ある寺院や非常に大きな規模を誇る旧商家が立ち並ぶ、錚々たる町並みが広がっています。

特に、道沿いにある草野銀行本店の建物（1911年築）を活用した草野歴史資料館は、

外観や内装もさることながら、中には筑後地区の鉄道黎明期の歴史的資料が数々所蔵されています。

明治期の鉄道跡を解説する書籍もありますので、鉄道がお好きの方にはぜひお勧めのスポットです。

（JR筑後草野駅から徒歩15分、西鉄バス25番草野局前より徒歩2分）

本当はこの建物とバスとのツーショットを撮影したかったのですが、

駐車場所の確保が困難なため、あえなく車窓からお楽しみいただきました。

▼別の機会に撮影した、「草野歴史資料館」とその前を走る25番系統田主丸上原行。

11:20　草野地区農園フォトラン

この草野地区をはじめ、田主丸、浮羽周辺はとても農業の盛んな地域でもあります。

ぶどう「巨峰」発祥の地として著名であるほかにも、植木（樹木）でも全国有数の出荷量を誇り、

沿線も非常に重厚な作りの家々が多いことも、この地域の特色です。

その農園の中央を貫く道で、再びフォトランを実施。

奥の踏切はJR久大本線（筑後草野〜田主丸間）、左右に広がる田畑の中をやって来る復刻塗装車。

福岡の原風景がここにあります。

右側のオレンジ色の果実は柿。

高級品種の柿栽培が盛んとのことで、私も毎年賞味しておりますが、

とても美味で贈答用としても非常に喜んで頂いてます。

田畑のど真ん中の信号を右折。

背後の耳納連山は、雲を被り幻想的な背景に。

田圃の方も、収穫に向けすくすく稲が育っています。

11:45　善院折り返し場

草野にほど近い、善院地区の西鉄バス折り返し場。

現在は減便と田主丸直通便の割合が増やしたことで、ここで折り返す25番はごく少数です。

・・晴れていれば、雄大な耳納連山の山々をバックに撮影できるはずだったのですが、

心配していた雨が本降りに(涙)

本来の御役目である、31番のLEDを表示。ありがとうございました。

12:00　山苞の道（やまづとのみち）

バスは善院折り返し場から、1本山側の、普段バスが通らない「やまづとのみち」の方向へ。

そのもう少し山側で、転回スペースのご協力を戴けたおかげで、再びフォトランを開催。

麓で皆様を降ろして、山中に向かう復刻塗装車。

この塗装が現役時代の山間の路線は、こんな雰囲気だったのかもしれませんね・・。

美しく整えられた樹木を背景に、山を下りたバスが姿を見せました。

ヤシの木が良いアクセント。

上の写真の手前、橋の上で希望者を乗せて、バスは再び山を下ります。

その一瞬をついて、全力疾走で山を下ります。。

ちょっとだけふり返り撮影した１枚。他の写真はぶれてました（涙）

大きく育った樹木の中をゆっくりと進みゆく復刻塗装車。

地元の方から、ここがインスタ映えでオススメ！とご教示いただいた区間です。

バスはこの手前の小さな公園でトイレ休憩の後、

草野・田主丸地区の雄大な自然の中を引き続き進みます。

12:20　紅乙女酒造　耳納蒸留所　兼直売所

バスは「やまづとのみち」沿いにある、紅乙女酒造の工場兼直売所に到着。

丁度入れ替わりで西鉄観光のガーラが出発していきました。なかなかのツーショット。。

この紅乙女酒造、福岡にではゴマ焼酎で有名ですが、直売所では甘酒ジェラート（ノンアルコール）や、

非常に飲みやすい地元産のワインも販売されてあり、なかなか女子の皆様にも好評なスポットです。

御土産購入タイムも兼ねていましたが、実家への土産で「ワインの赤ちゃん（製造過程で生まれるフレッシュなワイン）」を購入。

そして恒例の「アイス」ブレイクでは甘酒ジェラートを頂きました。

生産量も限られており、手に入らないこともあるという幻の美味アイス。良い風味でした。。

（ご参考）紅乙女酒造ホームページ

眼下には、遠く田主丸の町並みが見えます。

最近、この紅乙女酒造にも土曜休日だけ25-1番が乗り入れるようになりました。

駐車場でサイドビューを撮影。

この復刻塗装、現役時代を知る方より『本物よりも黄色が鮮やか過ぎる』とのご指摘を複数頂いていましたが、

あえて明るい色に調整をしたのではないかとも思えるほど、現在の町並みにも遜色なくマッチしています。

貸切らせていただいたからこそ、ゆっくり・じっくり、アングルを探して撮影。

雨粒が美しく車窓を飾ります。

LIONSマークに、当時を再現した半分カタカナの社名、そして旧社紋。

スケルトンなボディにも実はすごく似合うように思います。

立派な樹木の木陰で小休止。

皆様がお土産購入・アイスの御賞味を終えたことを確認し、昼食会場まで再びバスの旅です。

13:00　吉井温泉　咸生閣

今日の昼食会場は、吉井温泉咸生閣。

昭和な建物を横目に、バスは敷地内の駐車場へ。

昼間という事もあり静まり返っておりましたが、敷地内の温泉は「ジャングル露天風呂」と称され、

日帰り入浴500円で、地域の方を中心に永年愛されてあるようです。

最近は参加者の方から『途中に温泉休憩を入れてほしい』との要望が増えておりまして、

私も30を過ぎて、温泉入浴でインターバルを置かないと、午後に撮影がなかなかきつくなりまして、

今回は吉井温泉をチョイスさせていただきました。

これまたレトロなお食事が待ち構えておりました。

修学旅行気分。

廊下やロビーのあちこちに設置されたレトロなゲーム機の数々。

昭和がそのまま残っているようです。１プレイ20円、本当に球は出てくれるのでしょうか。

またジャングル風呂も、これまたなかなかの（レトロな意味での）佇まい。

永年の歳月で木がすごくよく育っていまして、ジャングル「風」ではなく、ジャングルそのものの雰囲気が楽しめます。

参加者の方からは「改装前のスギノイパレス（別府市）がこんな感じだったな〜」との感想も。

ジェットバスまであり、午前中の雨に打たれながらのフォトランの疲れを、すっかり癒してまいりました。

このツアーで一番イエスタデイワンスモアだったのは、この温泉旅館でした。。

14:55　杷木（日田バス杷木営業所）

ひとっ風呂あびたあとは、引き続き朝倉平野を巡る旅へ。 吉井温泉から10分少々で到着したのは杷木。 大分県との県境にも近い、福岡都市圏からの路線バスの終点としてもお馴染みです。 杷木を発着するバスで最多本数を誇るのは、日田〜福岡間の高速バス「ひた号」。 路線バスよりも福岡行きの高速バスが多い・・福岡近郊の高速道路沿いではあるあるの光景です。 続いて、1時間以上かけて二日市に向かう下道経由の路線バス。 福岡都市圏とは言え、杷木や甘木は久留米ナンバーです。 小石原や神杉野など、歴史ある山間部ローカル路線への拠点でもあります。 あらためて復刻塗装を近くで見入る。 ラッピングのため、隙間から元の赤バスの色が見え隠れ。社紋はちゃんと真鍮製で、赤バスの廃品を塗られたようです。 ボディで光り輝く雨粒。 雨の日にしか見れない光と水が作るファンタジスタなシーン。 トイレ休憩を終え、以前の杷木〜吉井間の経路を辿り南へ。 福岡市内ではなかなか聞けなくなってしまった「警報オーライ」。JR久大本線の踏切を越えて。 進路を浮羽バイパスより東へ変え、のどかな風景の中、疾走！   15:25　道の駅うきは   筑後川南側の小高い丘の上にある、人気の道の駅「うきは」。 込み合う一般車用スペースの隣にある大型車スペース、そのさらに奥に増設された駐車場に停めさせていただきました。 雲がかる耳納連山、浮羽の街並みをバックに停車する復刻塗装車。良い景色です。。 ポートサイドの勇姿。 雨も小休止し、艶やかさが良い感じ撮れる時間になりました。 山々の深緑と良くマッチする、旧塗装の紺色と緑。 こうした自然との景観になじむことを意識した配色なのでしょうか・・？ 中ドア部分。ドア下部までラッピングで処理されており、独特で特徴的な外観になっています。 決めポーズの９４２９号車。 名物の巨峰ソフトクリームをお買い上げの方もいらしたようです。絶品です。 （巨峰の栽培発祥の地は、この付近の田主丸です）   16:10　吉井営業所   道の駅うきはからもほど近く、浮羽・吉井・田主丸地区の路線を、一挙に担当する吉井営業所を見学させていただきます。 この「バスファンのためのバスツアー（現FBCC）」としては、久々の来訪＆見学です。 ９６MC勢ぞろい、かつ赤バス・スマートループ・復刻塗装の３色並び！ 歴史ある営業所のため、昭和の雰囲気が色濃く残る施設が構内に残っています。 整備工場もなかなかです。 ずらり整列停車。復刻塗装もなかなかカラフルに見えて良いですね。 営業所構内を引いた図です。以前は２０番快速や福岡高速用に、S型高速車がまとまった数配備されていました。 今では路線車と貸切車のみです。 営業所の待合バス停もなかなか良い雰囲気です。 吉井の町並みと同じく、白壁風。今でも幹線の佇まいを残す20番久留米行が発車。 西鉄でも有数の歴史を持つ吉井営業所。昭和の頃はこの塗装がずらり並んでいたんでしょうね。。   17:00　ローソン常持店   休憩に立ち寄ったのは、コンビニの敷地がバスの終点になったことで著名となった「ローソン常持店」。 20番の沿線、国道210号線沿いに位置します。買物休憩のため停車。 駐車場の背後には、雄大な景色が広がります。 あの麓が、午前中に辿った25番草野線の道のりです。 雨上がりの山沿いの雲は、なんとも不思議な光景を見せてくれます。 美しい田園と山々のある原風景。 背後の看板、微妙に博多弁（筑後弁？）でした。 この先は210号線を外れ、地元の方々からは通称「筑後川バイパス（？）」と呼ばれる、 川沿いの河川敷の道を快走。センターラインも無く、ガードレールも時々しかありませんが、 信号も無く快走できます。バスは本日最後の撮影地点へ。。   17:40　西鉄天神大牟田線　味坂駅付近　田園地帯   福岡天神から西鉄天神大牟田線に乗ると、大橋までは街、下大利までは都市圏、 それ以降も久留米あたりまでは都市近郊の風景が展開されますが、 途中の端間駅〜味坂駅の間の1区間だけは、左右に田んぼが1面に広がり、景色が一転します。 今回やって来たのは、そのスポット。参加者のほとんどが下車し、西鉄電車の踏切を渡る復刻塗装車。 土手の向こう側は宝満川。緑が美しいこの景色。 雨が上がって本当に良かったです。（雷が鳴ればフォトラン中止か・・と考えてました） 今回のフォトラン区間はかなり距離があるため、バスが戻ってくるまでは、隣の九州自動車道に注目。 西鉄のエアロエース、ひのくに号熊本行きをプチ流し撮り。 田んぼの中から、バスがやってきました。 この景色への溶け込み方は、流石復刻塗装。 街の中で見ると野暮ったく感じられる塗装ですが、あちこちに田んぼが拡がっていた時代には、 生活シーンの中に実に良く似合う色味だったのだろう・・と感じさせられます。 色は復刻ながら、中身は凛々しい外観と尿素＋高出力。 バスだけがタイムスリップしたような錯覚を覚える、かつて福岡の日本の何処ででも見られたはずの原風景。 振り返ると、西鉄5000形の上り特急が通過中。 間髪空けず下りの大牟田行特急も通過。 3000形観光列車「水都」。復刻塗装と同じくシックな色合い。 特急の離合については考慮して行程を作っていましたが、水都運用がやって来たのは想定外！ 何枚か列車の写真も撮りましたが、なかなか難しいです。。 架線柱の間に顔が納まった偶然の１枚。 坂を上った先の小さな川を越えたところが味坂駅（無人駅）です。 福岡と筑後を隔てる山々にたなびく雲が何とも情緒深い。。 今回のツアーの見学・撮影場所の選定理由は「かつて復刻塗装が見ただろう、福岡の原風景が残る場所」。 雨も完全にあがり、夕方の明るさを取り戻しつつある空模様のした、 みなさま思い思いにシャッターを切って車内へ。   18:30　西鉄久留米　到着   味坂から筑後川を渡り久留米に到着するころには、 日が沈み、雨上がりに特有な「日没前の青い夕暮れ」に包まれていました。 八女営業所まで回送されるバスを参加者の皆様でお見送り。有志で懇親会の上、惜しみつつも解散となりました。

40年超の時を超えて福岡に再び姿を見せた「青バス」こと、旧旧塗装車。
ツアーの途中、カメラを向ける私達に、当時の街の様子や思い出を語っていただける沿線の方々の多いこと。。

忘れかけていた想い出を呼び覚まし、この街で生きた「私」の半生を振り返る。
この復刻塗装車は、珍しさ・懐かしさに留まらず、沿線に大切なものを残してくれたように思います。

ご参加の皆様、私有地の転回許可をいただいた会社様、運転士の方、
ご尽力をくださいました西鉄バス久留米の皆様に心より感謝申し上げます。