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2015年5月17日朝。
日本一の最長距離を走る夜行高速バス、
「ライオンズエクスプレス」
大宮発福岡行最終便が、無事に目的地に到着。
3年半にわたる過酷な任務を終えました。
・・西武と西鉄が、
世代を超え「ライオンズ」への思いを一つにして
生まれたこの路線。
福岡側の最終便の模様をご報告いたします。
朝8時半過ぎ。1号車が博多駅に到着。
空いた道路を悠然とした足取りで歩む。
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1号車を務めるのは8545号車(2011年式)。
白夜行予備車としてデビューしましたが、
ライオンズ専用車と同じく4列シートだった事もあり、
まもなくライオンズカラーに衣装替えした車です。
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大博通りを進むライオンズエクスプレス。
日曜の朝にも関わらず、多くのバスに囲まれて、
終点の天神高速バスターミナルへ。
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1号車に遅れること10分少々。
2号車が博多駅前に姿を見せました。
1号車と兄弟分の8546号車(2011年式)。
ライオンズエクスプレスの運行開始から
僅かに遅れてデビューした、元からの専用車。
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2号車の出発は、
沢山のバスの隊列に囲まれて。
その時、横を進む路線バスが歩みを止め、
ライオンズエクスプレスに道を譲りました。
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獅子の風格を持ちながらも、
恐縮するようなゆっくりとしたペースで、
バスの隊列の先頭に出るライオンズエクスプレス。
同僚が作った大博通りの先頭という花道。
慰労の念を込めてのことでしょうか。
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博多駅の撮影後、那の津にある福岡高速営業所へ。
バスの空白時間帯で、天神からはタクシーで急行。
既に数人のバスファンと思しき方が、
カメラを構えていらっしゃいました。
(Twitterのフォロワー様もいらしたようで、
大変恐縮でございます)
9時班頃、天神北ランプの陰から姿を見せた、
純白のスーパーハイデッカーが2台。
あの存在感は間違いない。
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天神で最後の乗客と別れを告げたライオンズ。
最後のゴールを惜しむように、
那の津埠頭の信号で停車。
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ぴたり隊列をなしてやって来たライオンズ。
獅子のごとく、堂々としたフィナーレ。
こんな隊列を最後にカメラに納めたい。
そう思ったら、福岡高速に足が向いたのでした・・。
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那の津四丁目バス停前を越え、
ライオンズエクスプレス1号車、ゴールイン。
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ダッシュボードには、
出発地の埼玉大宮からのプレゼントか?
小さくも鮮やかな花束。
白いユニフォームのライオンズエクスプレスには、
見事に映えるアクセント。
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大通りを左折し、裏側の入口へ。
ちなみに後方、従者の如く3台目のセレガは、
博多駅到着後に回送されてきたひのくに号です。
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的確で無駄のないコーナリング。
車輛や路線はもちろん、
厳しい訓練で選抜された運転士も日本最高峰の、
腕前、力量、心意気を持っています。
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引き続き2号車も到着。
こちらは色違い、ピンク色の花束。
西武バスが用意されたのでしょうか。
同じ色を2つ注文しても良いところ、
最後まで抜かりのない手配。
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決まりきったこと、
されど確実な安全確認。
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洗車機。
ライオンズ運用終了後。
1000kmを越える旅路で積もった汚れを落とす。
まずは1号車から洗車。
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ダブルデッカーにも余裕で対応できるほど、
背の高い洗車機。
前面は運転士の方が、
さらにモップ掛けをされています。
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飛び散る水しぶき。
純白のボディだけに、常に綺麗な状態で。
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洗車終了。
とても日本一の距離を走ってきたとは思えないほど、
美しい輝き。
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・・一方の2号車は、給油中。
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一体どれほどの量が入るのか・・。
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洗車を終えた1号車が、給油所にやって来ました。
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入れ替えに2号車が給油所をバックで退出。
純白のボディは、光を反射して、
時間や場所でほのかに色を変えて見せます。
1号車は建物の色を反射して、少しだけ赤みのある白。
右の2号車は、日の光をやさしく反射した
僅かな青味のある白。
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ライオンズの大きなロゴマークが2台並ぶ。
撮れそうで、なかなかそろわない光景。
しかし、これももう恐らく撮影のチャンスは無い。
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テキパキと無駄のない動き。
さほど広くない構内でも、
慣れた動作で車の入り換えが行われます。
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ライオンマーク×2台。
西鉄グランドホテルの食器等で、
今でもわずかに残る西鉄ライオンズロゴ。
新型のバスにデザインされた時に感じた、
西鉄の心意気。
「効率性だけ」を求めていた一時の社風からの、
変化を感じさせられました。
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・・営業所の正面に移動。
洗車待ちの駐車スペースに止まる2号車。
真横からライオンズを撮ることが出来ました。
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運転士の方による念入りな窓ふき。
ライオンズとしての、仕業の最後の仕上げ
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清掃の方々に迎えられるライオンズ。
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洗車中を真後ろから。
セレガのスーパーハイデッカーと、
シンプルながらも気品のあるライオンズのデザイン。
非常によく似合っています。
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1号車は清掃スペースへ。
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福岡高速営業所の、清掃・洗車スペース。
ライオンズエクスプレスとしての、
最後の整備が行われています。
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洗車を終えた2号車。
爽やかな5月の青空に映える、
白いユニフォーム、ライオンズのロゴ。
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清掃スペースで、再び2台並び。
西鉄高速バスの、我が国のバス業界の、
日本一を誇った車同士が並ぶ、
バックヤード。
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運転士の方々も最後の片付け。
車輛の回りが、にわかに活気づきます。
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ミラーを拭く運転士の方。
最後だからと言っても、
細部まで、手を抜くことの無い任務。
職人としてのプライドを感じます。
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清掃スペースを離れる1号車。
「じゃあ、先に行ってます」
なんて声が聞こえてきそうな雰囲気。
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進行に伴い、角度が少しずつ変わるに伴い、
セレガの顔つきも変化。
どんな角度から見ても、
精鍛な表情。
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セレガの表情。
横がちになると、まだ見ぬ明日に向かっているような
勢いのある顔に。
新型セレガのデザインは、
ハンドルを握った運転士の、
厳しくも先を見据えた眼、表情を
どこか意識して作られたのでは・・。
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2号車は引き続き清掃中。
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「先輩、おつかれさまでした」。
弟分の、ひのくに号用のセレガと、
顔を向き合わせた瞬間。
もし、バスに、機械に心があるのなら、
きっとこんな掛け合いがあっているはず。。
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2号車も清掃スペースを離れ出発。
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向かうのは、1号車が既に入っている車庫スペース。
15日金曜日は上り便出発の最後。
16日土曜日は
ライオンズエクスプレスとしての最後の出発。
17日朝は、最後の到着。
そしてフィナーレは、
福岡高速営業所へのゴールイン。
ゴール後に行われた最後の整備は、
エピローグか。
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そのエピローグすら、
もうすぐ終わる。
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営業所をあとにしようかと正面に戻ったとき、
眼を疑う光景が。
2号車(8546号車)が、再び動いている!?
・・もう一つのエピローグの始まりでした。
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慌ててカメラを構えるファンを横目に、
営業所の正門前に堂々の姿を現す。
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これだけの巨体、
ローアングルで見上げると、迫力は倍増。
方向幕は「にしてつ」に切り替わっていました。
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福岡高速営業所の、最前列に駐車。
「しばらく此処に停めておきますので、
運行に支障にならないように撮って頂いて結構です」
我々バスファンを見てのサプライズか。
突然の出来事に、お礼の言葉もたどたどしく・・。
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運転士の方も、記念撮影をされていました。
ライオンズエクスプレスの任に就かれた際の、
想い出は、きっと星の数ほどおありなのでしょう。
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奥には荒戸大橋の見える福岡高速営業所。
1号車にも動きが。
まさか・・。
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突如再現される、ライオンズエクスプレスの
2台並び。
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タイヤをめい一杯切って、
狭い駐車スペースに巨体をたたむ。
これぞプロの技。
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門の前に集まったバスファンからは、感嘆の声。
ライオンズエクスプレスの最期を飾るため、
なんと暖かく、粋な演出、心配りなんでしょう。
皆に見守られ、現役最後のポーズをとる選手のよう。
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ライオンズエクスプレスの痕跡を残すため、
とにかく夢中でカメラを向ける。
ライオンのロゴ、最終便の証、花束。
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方向幕の「にしてつ」は、
西鉄らしくもありながら、
もうライオンズエクスプレスとして走ることない、
冷酷な現実を示しているようにも感じます。
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もちろん正面からも撮影。
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営業所の建物や整備工場から、
人が集まり始めました。
思い思いにカメラを向ける皆様。
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営業所の皆様で撮る記念写真。
集合がかかります。
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ぞろぞろと集まる皆様・・。
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清掃、食堂に至るまで、
ライオンズに縁のある方が大集合。
日本一の記録を、日本一の安全を、
日本一の使命を果たしてきた方々。
日本一の長距離路線の実現を、
表から、影から支えてきた方々。
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ハイ チーズ。
この直後でした。
「こっちに来て、一緒に写らんね〜」
福岡高速の支社長様(?)にお呼び頂き、
図々しくも我々バスファンも、
記念写真に混ぜて頂くことに。
休止の日なのに、まるで卒業式のような、
暖かく、晴れ晴れしい雰囲気。
・・たまたま好きで居合わせただけなのに、
重い責任を持って、ライオンズを動かし、
支えてきた方々と一緒に記録に残ることは、
正直、一瞬躊躇もしました。
・・ご厚意に心から感謝申し上げます。
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さらに、普段は撮影許可の出ない、
本社側のバス駐車場。
ライオンズの周辺だけ、短時間ではありますが、
特別に撮影許可を頂きました。
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ライオンズエクスプレスの最後を、
一緒に迎えることをお許し頂いたことに、
胸が熱くなる想いでした。
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営業所の建物も写るように、後方からも撮影。
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8546号車に載った小さな花束。
過酷な行程を連日走り続けた、
同車への慰らいのようにも思えます。
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ライオンマーク、プレート、そして花束。
5月らしいやさしい青空が、
フロントガラスに反射。
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ちょっとだけふり返って、
反対側も撮影。
4台しか納入されなかった、
西工SD型02MCの火の鳥カラー。
西工らしい大柄なボディに、鋭い目線がマッチ。
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九州内昼行路線のメンツも、随分と変わりました。
S型が1台も写っていない・・。
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92MC・98MCの、
端正な中にも優しさのある顔立ちと比較して、
よりシャープに、しかしボディ形状はあくまで
ストイックを貫いた02MC。
これはこれで、結構好きだったりします。。
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まるで卒業式の後、
校門を出る前に、未来の再会を誓う時間のように、
別れを意識させない明るい時間。
今日が最後であることを、忘れさせてしまうほど、
暖かいムード。
撮影を終え、お礼を申し上げて営業所を退出。
その後も数時間にわたり、集まった方々の、
バス談議に混ぜて頂きました。
(本当にありがとうございました)
ライオンズエクスプレスが結んでくれた、
ご縁とでも申せましょうか。
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西武鉄道と西日本鉄道、時代を越えて結ばれた、
「ライオンズ」の絆。
果敢に日本一に挑んだ3年半の記録は、
バス業界やバスファンの中で、
永久に記憶されることでしょう。
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West(8545で行く、鳥栖共栄車体・西肥バス営業所見学ツアー)
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