TOP > 日本各地のバス写真集 > 九州産業交通 路線バスの旅 人吉〜五木村線(通行止め編)


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九州産交の人吉近郊線。

人吉から北東方面へ行く、五木線に乗ってみました。

 

沿線は、日本最後の清流ともいわれる「川辺川」沿いの渓谷に、

秘境、五木村。そして終点は平家の落武者伝説で知られる五家荘(ごかのしょう)へと向かう、

ローカル秘境路線です。

 

午前中は古屋敷線に乗り、

昼の休憩をはさんで、15時代の人吉駅前からの便に乗車しました。

 

・・人吉駅前、バスは通常通り発着していましたが、

豪雨の影響でJRは朝から終日運休。

改札口も閉鎖され、駅構内は静まり返っています。

 

▼九州産交 人吉地区路線図(PDF)

 

 

行き  人吉駅前 → 五木村(上荒地・椎葉行)


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▲やってきたのはポンチョ。乗降性には優位性があるだろうノンステップですが、眺望面では非常に残念!乗客は自分を含め2人だけ。

 

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▲途中の球磨川・川辺川。今にも橋が冠水しそうな水量と勢いです。

 

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前日からの大雨で球磨地方の川はいずれも激流に。

この前後では田畑に激流が流れ込んでいました。

 

運転士さんからも、雨の影響で終点までいけないかもしれないとの事前予告。

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▲途中から道の高度が徐々に上がります。水面近くはもやではなく「水しぶき」

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▲渓流にかかる橋。大自然に挑んでいます。

 

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人吉から約50分。

川辺川の渓流がはるか下に見えるこの周辺が、建設がストップしたままの川辺川ダムの建設予定地。

 

1966年の計画発表以降、地元が猛反発!

ここまでは他のダム工事計画でも起こるところですが、90年代にようやく地元との合意ができ、ダムによる水没が予定されていた五木村中心部の移転計画が進み始めたところで、世論や下流域そして周辺市町村の反対運動が勃発。

 

ダム計画の見直し旋風が全国を吹き巡る中、建設はストップ。

反対派と賛成派が入り乱れる中で、水没地となる五木村の中心部の代替地への移転が進んでいる状況です。

 

建設された場合の心配は、環境問題やダムの治水効果への懸念。

建設されなかった場合の心配は、洪水対策や長年に渡りダムに悩み続け「賛成」の一大決心をした五木村の将来。

 

解決の難しい難題です。

 

▼(一財)日本ダム協会 川辺川ダム(完成予定図もあります)

▼五木村 川辺川ダム関連ページ

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▲建設途中の構造物が散見されます。

 

▲画面中心付近が、川辺川ダムアーチの建設予定地です。

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▲川面にも、草が追いかけた道路や建物らしき痕跡が。

 

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▲対岸にも、随分標高の高いところに道路が作られています。

 

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トンネルを通過中。

運賃表の埋まり具合が、長旅を示しています。

 

運転席左側の白く光るモニターは、運行補助装置。

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人吉から1時間少々で、人口約1100人の五木村の中心部、頭地代替地に到着。

 

ここで運転士さんより、

「大雨で、この先どこまで進めるかわからない。途中で降りて歩いて頂く可能性もあります。天候もすぐれないので、ここで降りて中心部を見てまわられたらどうか?」との衝撃のお話。

 

お話を頂いたことにお礼を申し上げて、

折角なので、行けるところまで乗せてくださいと返答。

 

バスはすぐに中心部を過ぎて山中へ。

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▲取ってつけたような金属色むき出しの橋。

バスはこちらに左折。・・この先はガケ崩れの復旧工事中だそうです。

 

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▲アップダウンの激しい渓流沿いの道を進むバス。これでも国道です!

 

 

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▲川面に近い場所まで降りてきました。

 

 

 

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▲激流の川辺川沿いに見る竹の川集落。右側の小さな橋のたもとに怪しげな白看板が・・!

警備の方より、『雨量規制でこの先通行止め!バスも折り返してください』。三叉路を使って巧みに折り返すバス。運行打ち切りです。

 

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▲道幅が少し広がったところで、バスはいったん停車。さてどうしたものか。

 

 

 

 

 帰り  五木村 → 人吉駅前


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バスはこの場で1時間ほど待機し、

人吉駅前行の本来の出発時刻になったころに出発予定とのこと。

 

どうしたものか?

 

先ほど通過した村役場までは約5キロの山道。
ここでじっとしているよりも、写真も撮れるし、村役場で買い物もできるかも。
それにこの川の轟音の真横で1時間は非常に怖い。

雨も小降りになったので、山道を戻ってみることにしました。

運転士さんにお礼を言って、もしもの際はトンネルか近くのバス停で待機している旨を申し伝えて、一路山道へ。

 

★自己責任による行動です。

同様の状況で、徒歩で引き返す判断について安全を謳うものではありません。

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こんな場所です。

右側が先ほどバスを降ろされたところ。

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▲晴れていれば渓流なはずの川辺川。釣り橋(?)がかかっていますが、ものすごい勢いで渦をまいています。

 

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▲水が巨大な竜のようにうねり続けています。

 

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▲バスの通る道から見下ろす。

 

 

▲恐怖感を覚える壮絶な音です。*閲覧時は音量にご注意ください

 

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▲何に使われる橋でしょうか?

 

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▲鬱蒼とした森、本降りなるかもしれない雨。しかし何よりも恐怖感を感じさせるのは、谷に響き渡る激流の音。

 

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気を取り直して先へ。

 

遠くから風の音に交じってエンジン音。
頻繁に振り返って音の正体を確かめたくなります。
・・その轟音が自分の隣で止まった時には思わず飛び上がりそうになりました。
(親切なレンタカーが、こんなところで見つけた歩行者を心配して声までかけて頂きました)

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これでも国道445号線です。

先ほど進んだ道を引き返します。

 

バスは平日6本。日祝は3本です。

 

▼九州産交 九十九瀬(つづらせ)バス停時刻表

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▲本来は川の対岸が国道だったそうですが、5年ほど前の土砂崩れで通行止めになり、急遽対岸に仮設橋を渡して道を確保したとのこと。
その土砂崩れ現場らしきものが見えました。 豪快に水が流れ落ちてますが、復旧はいつになるのでしょうか・・。

 

 

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▲掛橋バス停。辺りに民家は見えません。

 

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▲進んだ道を振り返ります。

 

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▲よく見ると、水しぶきの中に小さな橋が!

 

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 途中大雨に振られながらも、50分かけて何とか村役場へ。

 

傘をさしているのですが、ズボンのひざから下はぐっちょり。
小さな道の駅があったので、土産とタオルでも買おうかと思ったのですが、
折からの大雨で17時閉店。現在時刻は17時20分、しまった!

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▲温泉センターなる施設を発見し、お土産購入。

 

▲五木村中心部。ダム水没に伴い、中心部を移設。ニュータウンのような区画割をご確認いただけます。

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先ほどの折り返しのバスがやって来ました。

立派な道路ですが、通行止めの影響もあり車一台通りません。

 

 

 

本当は五家荘からの最終バスになるはずだった便です。

・・本当はこれのあとにもう1本、五木村発の人吉行のバスがでるはずなのですが、
「途中が通行止めになれば、次の便はここまでやって来れないかもしれない。出来るだけこの便で戻った方がいいと思います」
との運転士さんのお言葉により、この便で人吉に戻ることにしました。

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▲ポンチョの姿がこんなに頼もしく思えたのは初めてです。

 

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▲代替地を1周し、人吉方面へ!

 

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▲バスは貸切で山道を戻ります。

 

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▲トンネルの中は、深い「もや」。

 

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途中バス停で時間調整のため停車。

運転士さんのお言葉に甘えて、駆け足で車外撮影。

 

丁度、川辺川ダムの建設予定地だそうです。

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▲沿線の観光案内などを頂きながらの行程です。

 

 

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素人ながら、水を貯めやすそうですが、一方で環境問題も心配なのも理解できます。

 

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▲山を下ったところで、頭地代替地止めの最終便、リエッセと離合。

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▲バスはあと20分ほどで人吉駅前に無事到着。

 

 


 

 

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▲人吉駅前付近の川。鴨が川辺に避難していました。カメラ向けても逃げない・・。

 

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▲人吉インター付近の「合戦峰」バス停。この路線にはハイエースがやって来ました。

 

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▲人吉の古い造り酒屋を改装したホルモン屋。別の機会に行ってみましたが、なかなか良い雰囲気です。

 

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▲繁華街で2店がしのぎを削る「うなぎ屋」。滞在中に両店とも行ってみました。

 

 

食事は美味しい、温泉はある、そして辺境バス路線も多数!!

人吉の街の魅力を堪能した滞在でした。

 

(撮影:2012年6月)